はじめて演奏する場所で、どうしたら空間をうまく使えるか | obanamicrofone 尾花マイク

はじめて演奏する場所で、どうしたら空間をうまく使えるか

マーライオン

G5×アコースティックギター

音楽活動だけでなく、レーベル運営、イベント主催、プロデュース、文筆業、最近では毎日のように更新されるポッドキャストのMCと、多方面に活動するシンガー・ソングライターのマーライオン。コロナ期間、以前にもまして宅録に集中するようになった彼は、ちょうどそのタイミングでオバナマイクを使い始めたとのこと。普段機材について聞かれることが少ないというマーライオンに、使用楽器の変遷やマイキング、PAについて考えていることを聞いた。

--(画面越しに)いま持っているギターはエレアコですよね。

マー エレアコにしました。アコギを改造して、ピックアップ搭載しました。

--普通のアコギとして買ったものをエレアコ化したんですね。

マー そうですね。マーチンのHD-28Vというのを使ってます。選びに選んで買ったやつで、アコギはこれで2本目です。

--それまではどんなギターだったんでしたっけ。

マー 2万のヤマハのギター。それは今はお笑い芸人の(ガクヅケ)木田くんにお渡ししていて、一緒にイベントやってます。アコギは人前に出る人が弾いた方がいいと思って。

--今のギターもエレアコにする前からライヴで使っていたんですか。

マー 当時は僕はエレキギターの弾き語りをするミュージシャンだったんです。でも、みんな基本的に弾き語りはアコギだし、自分も広く聴かれるためにはアコギにした方がいいんだろうなと思って、今のアコギを買いました。ただ高い買い物すぎて外に持っていくのに抵抗があったりして(笑)、エレアコ化するまではライヴでは使ってなかったです。曽我部恵一さんとGOMES THE HITMANの山田稔明さんとのスリーマンが決まって、これはピックアップ搭載するかと思ってエレアコにしました。

--ヤマハのアコギはライヴでは使っていましたか。

マー ガンガンつかってました。僕のライヴって飛び道具的に使われることも多いので、ライヴハウス以外に出ることも多かったんです、喫茶店とか路上イベントとか。そういうときはアコギでした。ただ、迫力が出ないというか、どうしても2万のアコギだと限界があるので、買い換えないとなと。

--そのときのアコギはどのように集音していましたか。

マー ダイナミックマイクを立てて、マイク録りでやってました。ただ、僕は演奏中に動くところも長所としてあるので、そうするとダイナミックマイクは拾えないんですよ。なのでそういう意味でもエレアコが必要だとは思ってました。あとは昔、京都のnanoに出たときに、店長のモグラさんにアドバイスをされて、「マーライオンくんは、岡崎体育になるか曽我部恵一になるか選びなさい。どっちに振るのかが見えない」と言われて、当時はよりコミック要素が強かったのもあり、たしかにそうかもなと思って。それで、「演奏をよくするならマイクを2本くらい立てなさい」と。エレアコ使いつつ、マイク録りもするみたいな。そのあと知り合いのエレアコを借りて試しにやってみたら、やっぱり演奏が抜群によくなったので、これはエレアコを買わないとなと思うようになりました。

--オバナマイクは今後どのように使えそうですか。

マー まずはレコーディングですね。コンデンサーマイクも持っていて、それと2本使いしたときの音がすごく良いんです。コンデンサーマイクをギターのおしりの方に当てつつ、オバナマイクでも録ったときの音はめちゃくちゃ良かったですね。抜群によかったし、2本使いの臨場感が出てました。

尾花 やっぱり既にエレアコにしていても、バックバンドがいたりしたら、マイクで生音の感じを足しつつピエゾでも録るみたいな人はすごく多いですね。あとはピックアップを使わなくても、たとえばカネコアヤノさんは弾き語りのときには、オバナマイクと前に立てたコンデンサーマイクの2本使いをしていました。

マー 2本使いの1本としてもいいし、もちろん1本で使ったときの音も良くて。部屋で録ってる感じとかが出てて、とてもいいんじゃないかなと。

--オバナマイクをつかう前に、コンデンサーマイクだけで宅録していたこともあったんですか。

マー ありました。3月頭に、自分への誕生日プレゼントみたいな感じでコンデンサーマイクを買ったんですよ。僕、声が結構低音なんですけど、ヴォーカルマイクって高音を録りがちなものが多いので、悩みながら選んで、7〜8万くらいの中域、低域が出るマイクにしました。

--2〜3月あたりに、頻繁にマーライオンさんから新しい曲が送られてきた覚えがあるんですけど、あれはコンデンサーマイクで録っていたんですか。

マー あれはそうかな。中にはiPhone録音のもあったと思う。

--家でピックアップを試したことはあるんですか。

マーマー ないかも。

--宅録のとき、エレアコのピックアップを使わないのは普通の感覚なんでしょうか。

尾花 ピックアップで録るとサウンドは全然変わっちゃうので、マイクで録れるならマイクで、って人も多いかもしれないですね。

--マーライオンさんは、オバナマイクが届いたのがついこの間ということなので、もちろんそれ以降ライヴはなかったと思うんですけど、最近のライヴはピックアップだけで録っていたんですか。

マー 今年の1月からは2本使いしてました。今年の頭に岡山と名古屋でライヴをしたんですけど、はじめて演奏する場所で、どうしたら空間をうまく使えるかみたいなことを考えたときに、自分の力量というよりはマイクの本数とかで全然変わってくるんですよね。岡山のライヴは、自分の今までの演奏の中でも特に良かったんです。岡山のPAさんもマイクが好きな方で、リハーサルでもエレアコのライン入力と前に立てた2本のマイクで、3本使いしたりしてました。

尾花 レコーディングみたいですね。

マー そうですね。すごくマイキングがうまい人で、自分の中音が今まで演奏した中でも一番良かった。岡山のブルーブルースってお店のPAさんでした。

--地方も含めていろんな場所でライヴをしていると思いますが、特にマイキングが印象的だったことは他にありますか。

マー CINRAのNEWTOWNってフェスは良かったですね。図工室でやったライヴでした。sonihouseという名前で六角形のスピーカーを作ったりPAをされている方がいて、NEWTOWNでもそのスピーカーが使われていたんですが、たまたま僕がライヴをした図工室はスピーカーを作った本人がPAまで担当してくれる会場だったんです。スピーカーを4〜5つくらい、魔法陣みたいに囲んで置いていて、マイキングも2本使いだったかな。そのときは、スピーカーの影響も大きかったんですけどやっぱり音が抜群に良くて。耳がまったく痛くないけど、会場のどこにいても音が均等に聞こえたんです。

尾花 (sonihouseのサイトを見ながら)たしかにヴィジュアルもかわいいですね。スピーカーって結構ごついので、こういうのがあると景観をじゃましなくていいですね。

--そういう環境とは逆に、ギターとスマホさえあればライヴができるというフットワークの軽さもマーライオンさんにはありますよね。

マー ありますね。そういう意味で、アコギの選定には時間かけました。

尾花 なるほど。そのまんま弾くならということですよね。

マー そうですね。マーチンのD-っていう有名なシリーズがあって、一番高いのは100万くらいで、そこからグレードが下がっていくと、アルペジオは綺麗だけどストロークだと音が変わったり、個体差が出てきたりするというのも中にはあるんですけど、この僕のギターはストロークがものすごくがっと前に出てくるんです。あとネックがVシェイプみたいになっていて、あんまり他のアコギとかにはないグリップの感じで。

--(みんなで画面を観ながら)--

--ネックの断面がUではなくVになっているということですか。

尾花 かまぼこではなく、Vになっているんですね。

マー そうなんです。最初は慣れなかったんですけど、手がそんなに大きい方ではないので握りやすさが違うんです。あと僕、中学生のときに同級生に指折られてるんですよ。

尾花 ええ!?

マー いや、悲しい話じゃなくて。

--嘘ですよね。

マー 本当本当! zoomでも確認できるから、ほら。後遺症で第一関節が一生曲がらないんですよ。

--(みんなで画面を観ながら)--

尾花 あー本当だ。

マー だからバレーコードとかが中学生の頃からできなくて、自分おさえみたいなのでずっと育ってきちゃったんです。それもあってVシェイプがちょうどよくて、2〜3か月くらいかけて今のギターを選びました。

--マーライオンさんは自分以外のミュージシャンのライヴもたくさん観ていると思いますが、特にアコギで音が良かったのを覚えている人はいますか。

マー 一番最初に思うのはエンケン(遠藤賢司)さん。すごかった。衝撃うけた。あの人自身がすごいのももちろんあるけど、それでもあの人の迫力が伝わるようになってるのはマイクとか機材の影響が絶対あると思うから。とにかく迫力がすごくて、多分そこでエンケンさんに似ているのが曽我部さん。相当影響受けていると思う。

--そしてマーさんももちろん曽我部さんの音を参考にしてますよね。

マー してるね。共演したときのリハとかは全部みたし。曽我部さんはマイクの距離感とかもすごく考えながら演奏してますね。あとは以前共演したミュージシャンが、青森のファンが自作してプレゼントしたマイクを使っていたんです。やっぱりファンがその人のために作ってるので、それもめちゃめちゃ音良かったですね。

--今後ほしい機材とかはありますか。

マー 次買うのはソフトかな。いまLogicが無料で配布されていてそれを使ったりしてるんですけど。昔、Digital PerformerっていうDAWソフトを10万くらいで買って、それが難しすぎて全然使いこなせなくて…10万はたいたのに使いこなせなかった(笑)。基本的にパソコンとかが苦手なんですよ。僕がいらいらすると、電化製品が壊れがちだったり。

尾花 (笑)。

マー これはマジな話なんですよ。アルバイトしてたときにいらいらしたらレジが壊れたりとか。ラーメン屋入る前に友達と言い合いしてて、投げやりにラーメン屋入って食券機にお金入れたら、僕が入れたお金で食券機が壊れたりとか。

尾花 じゃあパソコン怖いですね…。

マー そうなんです。でもそうも言っていられなくなってきたので。

尾花 やっぱり、ミュージシャンが機械にも強くなきゃいけないっていうのが厳しいなと思ってて。マイクがそういう人を助けるものになればと思ってます。

マー 本当それですね。あとは機材って、買うたびに仕事がくるんですよ。これはECDさんもたしか言ってました。

尾花 …(笑)。